漢方の基礎理論

漢方中医学の考え方と西洋医学の違い

漢方中医学の考え方を知る為に、 西洋医学との大きな違いをまず知らねばなりません。 簡単に比較すると以下のようになります。

『西洋医学』

解剖生理学による数値データを元にした医学
各器官の症状に対して治療する
基準値の数値を超えると病気として診断する
人工的化学治療や化学薬剤を処方

『中医学』

生きた人体に対する処方の経験値を蓄積した医学
自覚症状があれば未病のうちに改善が原則
症状の根源を追求し全身の状態を診る
一見同じ症状でも人によって処方が異なる
人体の経絡に働きかける治療や自然から得た本草薬を処方

最も大きなポイントは、西洋医学では、 眼科・皮膚科など身体がいくつかの各科に分かれて診察されるように、身体を部分的に診ます。 診断は数値的に測られて診断されますので、症状がいかに不快でも処方されません。 または、症状がみられる部分の痛みや炎症そのものを抑える処方がされます。 漢方中医学では、症状の根源に目を向けます。 そして、根源から見て他へ影響を及ぼしている部分へも目を向けます。 数値ではなく、本人の全身の状態を診るというところが肝心なのです。

私たちの身体を包んでいる部分である皮膚、髪、爪と内側にある骨、筋肉、内臓はすべて1つに繋がっています。 切り傷や打撲などの外傷以外は、どんな症状ひとつとっても、その根源となる病因が必ず体内臓腑にあります。 たとえば、唇がパサパサに荒れていれば、軟膏を塗るだけではなく胃に問題がないかを診ます。 髪の毛が異常に変化したときには腎臓の状態、全身の水分の代謝、虚・実などをチェックします。 さらに関連する「冷え」なども改善していくよう処方するのです。

いかがでしょう?ストレスの多い今日、病気には至っていないものの身体になんらかの歪みを感じていらっしゃる方がほとんどです。 ご自分の細かな不調や、今まで年齢によるものだろうと見過ごしていた症状も、探ってみれば、本質から改善ができるような気がしてきませんか?